聴刻堂のひとりごと

映画、読書、ときどき旅行

映像「エド・シーラン:ONE SHOT」

エド・シーラン:ONE SHOT」
を観た。

2025年の音楽映像作品。
NETFLIXで配信されている。
監督フィリップ・バランティーノ。

ニューヨークでのコンサートのリ
ハーサルをするエド・シーラン。
リハを終えると、ギターを抱えて
街へ飛び出してゆく。市内をあち
こち巡りながら、即興で代表曲を
歌い上げてゆく・・・。

驚くべきことに、映像が初めから
終わりまでワンショットで撮られ
ている。映像が切れることなく、
続いてゆくのだ。

タクシーの中、ビル前の広場、
ホテルの屋上、ライブハウスの中、
歩道、地下鉄・・・。

街なかの人々と言葉を交わしたり、
一緒に写真を撮ったり、歌ったり。
まさに究極のライブ、という感じ。
自在に振る舞うエド・シーランは
とても楽しそう。その姿に、只々
驚嘆するばかり。

映像の時間は61分。その時間中、
街なかを移動し、人々と交流し、
演奏して歌い続けるのだ。こんな
映像作品は観たことない。
すごい。

どうやって撮ってるんだろう?
不思議に思ったが、嬉しいことに
メイキング映像も配信されている。

本編はもちろん必見だが、11分の
メイキングも併せてお見逃しなく。

映画「イエスタデイ」

映画「イエスタデイ」を観た。

2019年のイギリス映画。
監督はダニー・ボイル
脚本はリチャード・カーティス
出演はヒメーシュ・パテル、
リリー・ジェームズほか。
なんとエド・シーランも本人役で
出ているのだ。

主人公は売れないミュージシャン
のジャック。ビートルズの楽曲を
演奏したら周りは誰も知らないと
言う。ネットを検索しても出てこ
ない。どうやらビートルズを知っ
てるのは自分だけらしい。彼らの
楽曲を演奏することで、爆発的に
に売れ始める。だが、それは昔か
ら応援してくれた幼馴染のエリー
と離れることに・・・。

面白かった。状況が判ったら物語
の行方は想像できてしまうのだが、
周りの登場人物がイラッとさせる
人たちばかりで、そのヤキモキ感
がクセになる。これは脚本の巧み
さだろう。

それに加えて、ビートルズの楽曲
が目白押し。それだけで映画一本
楽しめる。やはりどれも名曲やね。

主役の二人も特別な美男美女でも
なくて、それが役どころとマッチ
してるし、親近感も持てて良い。

途中モヤモヤする懸案がいくつか
あるのだが、きちんと回収されて
いい塩梅に決着してくれる。楽し
める一本。特にビートルズが好き
なら尚更だろう。

映画「西部戦線異状なし」

映画「西部戦線異状なし」を観た。

1930年、1979年に続き、三度目の
映画化となる2022年版だ。

監督エドワード・ベルガー。
原作エーリヒ・マリア・レマルク
出演フィリックス・カマラ―ほか。

第一次世界大戦。17歳のパウル
配置された西部戦線での戦争の状
況が描かれる。ドイツ軍とフラン
ス軍が塹壕戦で膠着状態になった
戦場だ。わずか数百メートルの陣
地を奪い合って数十万の兵士が戦
死したと言う。

戦争の悲惨さ、戦場の残酷さが徹
底的に描かれる反戦映画だ。戦場
の混沌と大自然の美しさの対比が
虚しさを際立たせ、兵士たちの過
酷さと将軍たちの厚遇さの対比が
怒りを掻き立てる。

兵士たちの命をすり潰して戦争を
遂行する。そんな政治家や将軍は
架空のものでもなく、現実に存在
する。囚人や傭兵を投入して人海
戦術を施している国が海を挟んだ
隣にいるではないか。

本作は2022年の第95回アカデミー
賞の国際長編映画賞をドイツ代表
作として受賞している。アメリ
で製作されたドイツ映画というこ
とになるのだろうか。

こうした反戦を訴える映画は広く
世界で観られると良い。しかし、
彼の国ではネット配信も検閲され
制限されたりするのだろうか・・・。

「謎の香りはパン屋から」(土屋うさぎ)

「謎の香りはパン屋から」という
本を読んだ。

著者は土屋うさぎ。
2025年の第23回「このミステリー
がすごい!」の大賞受賞作だ。

ほう、これが"このミス"大賞の受
賞作か?と意外に思えた。

パン屋でアルバイトを始めた女子
大生が主人公。5つの連作短編。
いずれも謎解きミステリー。

と言っても、なぜ友達がドタキャ
ンしたか?とか、なぜアルバイト
の同僚がフランスパンに切れ目を
入れられないか?とか、ホンワカ
した謎なのだ。殺人事件なんて起
こらない。

考えてみれば、人が殺されるとい
うのは異常なことで、そうした事
を題材にすると、怨念とか、精神
異常とか、おどろおどろしい物語
になりがちなのだ。

それよりも、日常生活の中で見落
としがちな出来事に対して、注意
深く気がついたり、人の気持ちを
推しはかったりして、困りごとを
解決する方が、読んでて楽しいか
もしれない。

嫌な気分になるミステリーが多い
中で、ホンワカと健全な日常ミス
テリーという新機軸か?!

映画「ユリゴコロ」

映画「ユリゴコロ」を観た。

2017年の日本映画。
監督・脚本は熊澤尚人
原作は沼田まほかる
出演は吉高由里子松坂桃李
松山ケンイチほか。

婚約者とレストランを経営してる
亮介。末期がんを宣告された父親
を見舞いに実家へ、父の部屋の押
し入れに「ユリゴコロ」と書かれ
たノートを見つける。それは幼い
頃から殺人を繰り返した女の半生
を記述したものだった・・・。

読めない展開が命のミステリー。
あらすじを語ればネタバレになる。
だから多くは語るまい。確かに、
話の展開は色々あって楽しめた。

とは言え、話の展開以外に見所が
ない映画はつまらない。だからか
と思うが、グロいシーンを挿れた
り、濡れ場を設けたりして、作る
側も工夫したのだろう。

展開の意外性を大事にし過ぎるの
は考えものだ。設定に現実味が乏
しくなってるし、迷彩を施すため
か人物を十分に描いてないし、人
格の一貫性にも欠けるので、主要
な人物に感情移入が難しいのだ。

キャストは悪くないし、出演者の
演技は良いんだけどね。その点、
ちょっと残念な一本でした。

映画「百円の恋」

映画「百円の恋」を観た。

2014年の日本映画。
監督は武正晴
脚本は足立紳
出演は安藤サクラ新井浩文ほか。

32歳で実家にひきこもってる一子。
離婚して子連れで帰ってきた妹と
大喧嘩して家を出る。百円コンビ
ニでバイト生活。近所のボクシン
グジムに通う37歳の男と知り合い、
自分もボクシングをし始める・・・。

まあ、暗いのよ。映画の画面が。
一子も、周りの人たちも。不器用
だったり、だらしなかったりで、
お先まっ暗。

ボクシングの試合を見て、一子の
どこかに火が着いた。相手と真剣
に向きあう。ヒリヒリとした緊張
感。全力で殴り合う。限界まで。
完全燃焼。相手もそれに応えて、
認め合える。

一度でもいいから勝ちたい。一子
は何に勝ちたかったのか。試合か。
相手か。悔しい思いをさせられた
誰かか。世の中か。自分自身か。

ボクシングで稼げるわけではない
けれど、"勝ち組"に上がれたわけ
でもないけれど、一子はまだまだ
これからも闘うことができるだろ
う。

映画「そして恋にはシャンパンを」

映画「そして恋にはシャンパンを」
を観た。

2025年のアメリカ映画。
監督・脚本は
マーク・スティーブン・ジョンソン
出演はミンカ・ケリー、
トム・ウォズニチカほか。

アメリカの中小企業向け投資会社
に勤める女性が、歴史のあるフラ
ンスのワイン醸造家買収の案件を
担当する。案件をまとめるために
パリに出張し、本屋で知り合った
男性と恋をする。翌日、男は醸造
家の息子だったことを知る・・・。

なんで本屋で少し話をしただけの
相手と・・・等と野暮なことは言うま
い。恋は理屈じゃないし、映画も
楽しい方が良い。

原題は"Chanpagne Problems"。
「選択肢がどちらも魅力的で、
悩みとも言えない贅沢な悩み」と
いう意味の慣用句。なるほど。
問題が起きても楽しめるわけね。

物語はハッピーだし、登場人物達
も皆いい人達だし、パリのクリス
マス風景の美しさも堪能できる。
シャンパンの泡のように軽くて、
綺麗で、心地よい刺激で。そんな
映画。二人でクリスマスに観るの
にピッタリです。